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甘くする、
だけじゃない!
お砂糖の知られざるチカラ
お菓子づくりや料理において、お砂糖は単に甘味を加えるだけでなく、さまざまな役割を担っています。料理をより豊かに、より美味しくする、お砂糖の知られざるチカラをご紹介します。
防腐のチカラ
お砂糖は食品の中の水分子を強く引き付ける性質を持っています。この性質により、カビや細菌の繁殖に必要な水分を奪い、増殖できなくするのです。お砂糖をたっぷり使ったジャムやお砂糖漬けが腐りにくいのはこのためです。
酸化を防止するチカラ
食品中の水分をお砂糖が保持し、酸素が溶け込みにくい状態をつくります。これによって、バターなどの油脂やジュースなどの酸化を防ぎ、風味を守ります。
デンプンの老化を
抑えるチカラデンプンは、加熱加工をすると糊状になり、それを放置すると、粘り気が低下し透明度がなくなっていきます。このような「デンプンの老化」を防ぐチカラが、お砂糖にはあります。お砂糖をたっぷり使った羊羹や餡が固くならず、お砂糖を入れたすし飯がボロボロにならないのはこのためです。
やわらかくするチカラ
肉は熱を加えると固くなる性質をもっています。しかし、肉にあらかじめお砂糖をもみこんでおくと、肉がやわらかくなります。それは、お砂糖が肉の中に入り込んで、肉が固くなるのを防いでいるから。様々な肉料理の下ごしらえの際にお砂糖をもみこむのは、この特性を生かした知恵なんです。
タンパク質の凝固を
抑えるチカラ卵は急激な加熱で固くなり、舌触りが悪くなります。これは、タンパク質が加熱によって固まりやすい性質を持っているから。ところが、お砂糖を加えると卵のタンパク質が固くなる温度が高くなり、緩やかに固まっていきます。そのため、卵料理がやわらかく、ふわふわに仕上がります。
ゼリー化させるチカラ
お砂糖には、果物に含まれるペクチン(食物繊維の一種)を「ゼリー化」させる働きがあります。
ジャムなどにとろみを出したい時に役立ちます。泡立ちを保つチカラ
メレンゲや生クリームを泡立てても、しばらく放置すると液状に戻ってしまいます。それは、泡を形作る卵白のタンパク質が、水分を引きつけてしまうから。しかし、お砂糖を加えて泡立てると、お砂糖が水分と結びついて離れなくなり、しっかりと泡が立って安定します。
発酵させるチカラ
パンをつくるときには酵母を使います。酵母は糖によって発酵し、それによって生地が膨らんでいきます。小麦粉にも糖質が含まれていますが、お砂糖を加えることでさらに発酵しやすくなります。お砂糖を加えたパンは、お砂糖を加えなかった場合と比べて2~2.5倍程度大きく、ふっくらと仕上がります。
雑味を消すチカラ
お砂糖の持つ強い甘味は食材の生臭さや苦み、酸味といった雑味を和らげ、食べやすくする効果があります。この効果のことをマスキング効果と言います。肉や魚の煮物にお砂糖を入れたり、甘酢やコーヒーにお砂糖を入れることで、このマスキング効果を生み出しているんです。
「おいしそう」を
つくるチカラお砂糖はタンパク質と加熱するとメイラード反応と呼ばれる現象によって、香ばしい匂いや褐色の焼き色をつけます。ケーキやパン、ビスケット、どら焼きなどの焼き色がその例です。「おいしそう」と感じる匂いや焼き色は、お砂糖が作り出していたんです。